気功と小栗旬
9月7日
世間ではあいも変わらず胸糞悪いニュースが毎日流れている。
Twitterのタイムラインを見る度に舌打ちをしてしまう。その中でも一ヶ月以上取り上げられている宗教問題。
ちなみに私は無宗教です。
だけども、宗教学や死生学には興味があり、何冊か本も読んだ事がある。
仏教入門はみうらじゅんの「マイ仏教」だった。
宗教の歴史しかり、宗教の上での人間がある様は人の不思議さが絶えず続き、生きる上で切り離す事が出来ない魅力を持っていると思っている。
私は身を挺して宗教の不思議さを体験した。
私は生まれてこの方、見知らぬ人に三度気功をかけられた事がある。
正確には一度はかけられ、二度回避した。
最初にこの体験したのは、学生時代に派遣ホステスのバイトをしていた時だった。
中心地にある、クラブやラウンジ、会員制のお店に短時間ホステスとして派遣される高給アルバイトだった。
ある時、数回行った事のある会員制のお店に派遣された時の事。
そのお店はいつも暇で、お客さんがゼロの時もあり、ママと談笑して終わるという記憶しかなかった。
その日お店に着くと、見かけない女の子がいて後から聞くと直属のホステスさんだという事が分かった。
いつも通りお客さんは来ず、ママと談笑したり、カラオケの画面をぼーっと見ながら時間を潰していたら、ママがお使いに行ってくるとお店を出た。
その後すぐ、直属ホステスが急に話しかけてきて、(何を話したかは覚えていないのでたわいもない話だったと思う)徐に「肩って凝ってない?」と聞いてきた。
高身長で猫背だった私は、肩凝りユーザーだった。
「結構凝ってますね。」と普通に答えたら、
「私、肩凝り治せる力持ってるの。」と言い放ち、は?と思ってる間もなく、気功を私の肩にかけてきた。
あの、ドラマや映画やゲームに出てくる気功である。
私は頭の中にはてなが連発し、フリーズ状態になり、かけられるまま気功を浴びていた。
気功が一通り終わると、「どう?軽くなったんじゃない?」と言われ、流されるままに「すごい楽になりました!肩が温かいです。」となぜかありもしない事を答えてしまっていた。
完全にテンパっていたのである。
その後、気功の説明やら力の身につけ方などを話して来たが、完全にテンパり状態の私は何を言われたか覚えていない。今考えると勧誘的な事を話して来たんじゃないかと予想される。
その時、ママが帰ってきて、直属ホステスは何事もなかったように、私から瞬時に離れて行った。
その日は何が起きたか処理が出来ず、頭は終始フリーズ状態で後にお客さんが来たかどうかも覚えていない。
帰り際、ママにこそっと電話番号を渡された。「何かされたらいつでも連絡して」と言われた。
直属ホステスはどれだけ被害を出していたのだろうか。幸いな事にママに連絡する事は無かった。
二度目はそれから数年して、地下街の店舗に配属されていた時の事である。
休憩中、地上に出てタバコを吸っていたら見知らぬマダムが話しかけてきた。道を聞かれる事はしょっちゅうだったので、そのつもりで返事をしたら、「あの、肩って凝ってないですか?」と聞かれた。
私は、咄嗟にあの時のあれだ!と思い出し、「大丈夫です。」と答えた。それでも食い下がらずマダムは、「困ってたらお助けしますよ。」と言ってきた。私は「本当に大丈夫なんで。」と駆け足で地下に降りる階段に向かった。
まただ!何故皆私に気功をかけたがるんだ!
その時左手には栄養ドリンクを持っていたから、そのせいかもしれないと後から思った。
三度目はショッピンモールの店舗に配属された時だった。
ベビーカーを引いたお客さんがお友達と来店していた。一通り接客して、試着する事になり、試着室に案内した時、「お姉さん肩って凝ってないですか?」と聞かれた。
またか!こいつもか!赤ちゃん連れてるのに!
と過去の気功ーズ達を思い出し、「私、全然肩凝りないんですよ〜。」と笑顔で対応した。
バッキバキの肩凝りユーザーですが。
気功ーズ三人に共通するのは「肩凝ってないですか?」である。そんなに肩凝り顔なのか、私は。
確かに当時は猫背で姿勢も悪かったけれども、何故私なんだ!
ちなみに、この話を友人や知り合いに話しても同じ境遇の人に出会えた試しはない。
もはや、気功ーズは都市伝説なのかもしれない。
その後猫背と姿勢を治してからは(気功ーズがきっかけで治した訳ではない)一度も遭遇していない。
ちなみに、催眠術もかけられた事がある。
正確にはかけられたふりをした事がある。
知り合いのバーで飲んでいた時、普通の男性二人組に声をかけられた。
適当にあしらっていたら、「俺ら催眠術出来るよ。」と言ってきたので面白くなってかけて欲しいとせがんだ。
好きな芸能人は誰か聞かれたので、小栗旬と答えた。
よくある、数をかぞえたらうんたらかんたらと言って催眠術をかけてきて、目が覚めたら目の前に小栗旬がいると言ってきた。
当たり前だが、全くここまでかかっていない。
で、いざ目を覚ますと、小栗旬など当たり前にいる訳見える訳もなく、普通の男性二人組のままだった。
とりあえず乗っかっておこうと悪知恵が働き、「え!旬くん!なんでいるの!!」と大袈裟なリアクションをしてみた。
そしたら、小栗旬を装った男たちは小栗旬として口説いてきてお持ち帰りをしようとして来た。
私には全て見えているので、(というか小栗旬なら持ち帰れると思ったのかよ)
「自分の家に帰ります。」と普通に断った。
そしたら、また数をかぞえたらうんたらかんたらで眠らされ、その間男たちは「どうする?どうする?」と相談し始めた。
当たり前だが、その光景も全て私には見えている。
何度か適当に乗っかる、自宅に帰りますと断るというやり取りをして、さすがに男達は諦めた。
このエセ催眠術男達に、かかって持って帰られた女は果たしていたのだろうか。
典型的な悪質な行為である。本当に催眠術師がいたとして、このような行為をしている輩がいたらきつく取り締まって欲しい。
宗教にすがる気持ちは、分からなくもない。
人は誰でも、背中を押して欲しいし、大丈夫だよと言って欲しいものだと思う。
気功ーズ達のように、自分は特別な人間なのだと思いたい気持ちも分かる。気功が自信に繋がるかは定かではないが。
初めは、誰かを助けたいだけだったかもしれない。誰かを助ける事も承認欲求のひとつだと思うから。
最近仕事から離れて、姿勢が悪くなってきたのでそろそろ四人目の気功ーズに出会うかもしれない。そしたらまた報告しようと思います。